雨のリフレイン

実は水上は、柊子のドレス姿が予想以上の出来栄えで、緊張してまともに見れていなかったのだ。もちろんそんなこと、柊子は知る由もなく。


険悪な2人に挟まれて、柊子は困ってしまう。


母とカメラマンからは、柊子の後ろ姿しか見えていないはずだ。
翔太と水上の会話も届いていないだろう。
仲のいい二人が自分のせいで険悪なムードになることが耐えられない。
柊子は、思い切って水上に本心を伝えることにした。


「せっかく、セミオーダーまでして用意してもらったドレス。もう、着ることないし、せめて写真に残して下さい。
ごめんなさい、水上先生。先生があんまりにカッコよくて、私、釣り合い取れなくて…。
お母さんを喜ばせる為の写真だから、あと少し我慢して下さい。
ごめんなさい、翔太先生。心配してくださってありがとう。
顔、なるべく撮さないで、ドレスメインの写真を使って下さいね。スタイルも良くないから加工もして下さい」

2人に柊子はペコリと頭を下げた。

その時だった。

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