雨のリフレイン
「だから、俺の家族は信子さんと、柊子だけ。
それで良い。おとなしくなった蜂の巣を突くような事はしたく無い」
水上の苦悩を知って、信子は、彼の手を両手で優しく包み込んだ。
「洸平くん。大丈夫よ。もう一人じゃないからね。
翔太先生。お願い、洸平くんを助けて。
本当は翔太先生と一緒に新しい医療センターで働きたいんだと思う。二人のコンビは最強だもの」
信子の目に涙が滲んでいる。
「大丈夫ですよ、信子さん。
洸平も心配するな。対策は万全だ。
もし、あの後妻が次にお前に何かするような事があれば、もう容赦はしない」
いつもは、ヘラヘラしている翔太。
だが、ここ一番ではとんでもなく頼れる男だ。
「その代わり、こき使うぞ。馬車馬のように走れよ洸平」
「…あぁ。
見てろ、スーパードクターってやつになってやる」
洸平の心が決まったようだ。
翔太と洸平は、力の入った握手を交わした。
「何なら、柊子ちゃんと信子さんの面倒も俺に任せろ。
柊子ちゃんは本当に可愛いなぁ。
洸平なんかにはもったいない。
俺ならめちゃくちゃ可愛がってあげるよ?」
翔太は、柊子の肩を抱き寄せた。