雨のリフレイン
水上の姿がなくなると、柊子は、床にぺたんと座り込んでしまう。


ーー水上先生。
先生、大好き。大好きなの。
それなのに。
私、先生に迷惑しかかけらない。


我慢していた涙が頬を伝う。
柊子は、そっとリビングからベランダへと出た。



外は、まだ強く雨が降っていた。
コンクリートを打つ雨の音がする。湿った雨の匂いが柊子を包んだ。


「…っ」


ベランダの壁にもたれて、手で顔を覆う。


大丈夫、雨が全て隠してくれる。
溢れる嗚咽も、止められない涙も。

いつも笑顔で強く居るように頑張っているけど。
雨は知っている。本当はそんなに強くない、と。



だから。


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