雨のリフレイン
さっきの話で、水上は横浜の実家の存在が気がかりだと言っていたが、本当の足かせは柊子達の存在だと思えて仕方ない。


水上は家族が出来たと、母をとても大事にしてくれる。本当に助かっているし、感謝している。でも、そのせいで水上が仕事を自由に出来ないなら申し訳ない。
今は勤務先の近くのマンションに住んでいて、それでも寝る為だけに帰るくらい忙しいのに。
横浜からなんて、実際は無理に決まってる。

もし、水上が柊子のことを好きでいてくれるなら甘えてしまうかもしれない。でも、彼の中にある感情は同情であって、愛情ではないのだ。
水上には、これ以上迷惑をかけたくない。
柊子達は彼にとって、未来のために投資すべき優良先どころか、邪魔な存在にしかならない。
彼の幸せを思えば、この結婚を終わりにするべきだ。それも、約束の柊子の卒業を待たずに、なるべく早く。


ーーねぇ先生。私のこと好き?先生の望みは何?


心のどこかで、お母さんがいなければ、もっと自由なのにと思う自分がいる。
好きと告白して、いずれ恋愛に発展して恋人になっていつかは結婚、みたいな普通の恋ができたなんて思う自分がいる。

実際は、お母さんがいなければ先生は私なんて見てくれないのに。

こんな醜い自分が嫌だ。






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