雨のリフレイン
「…君は。
君は、自分から提案した約束すら守れないのか。この結婚、とりあえず君が卒業するまでは何があっても継続でと言ったのは君じゃないか」


怒りを含んだ低い水上の声。
今までこんな声を聞いたことはなくて、柊子は思わずブルっと震えてしまう。


「俺のこと、なんだと思ってる。
確かに仕事は好きだ。やりがいも感じている。
でも、仕事が全てじゃない。
忙しくて一緒に過ごす時間は少ないけど、君たちが側で笑ってくれたら、それだけで幸せなんだ。
それなのに。邪魔とは、何だ。
そんなこと、思ったことすらない」


涙で視界が霞む。
それでも怒りを露わにした水上の顔が怖くて、涙は止まらない。


「ご…ごめんなさい。
私、どうしたらいいかわからない。
先生のこと、本当に大好きなの。
私は先生の側にいられることが本当に幸せで。
先生がご実家のことで辛い思いをされていたと知って、それなら、先生が新しい家族だと言ってくれた私達は、どうしたら先生を幸せに出来るんだろうと。
考えるほど、私達が先生の邪魔になってると思えて。だから卒業までなんて言わずにこんな関係、辞めた方がいいって。
もう、どうしたらいいかわからない。
もし先生が望むことがあれば、先生のためになら何でもするから、ハッキリと教えてください。
先生は、何を望んでいるの？」


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