雨のリフレイン
「…すぐにわかるさ。
柊子、家では、“先生”じゃなくて、名前で呼んでくれ。
君の夫の名前、覚えているか?」
なんだか、いつもの落ち着いた水上じゃない。
ひどく情熱的で、怒っているのか、余裕の無い様子。こんな水上は初めてだ。
どうしたらいいか分からず、柊子は求められた彼の名前を声に乗せる。
「水上、洸平…。洸平、さん?」
初めて、その名前で呼んでみた。
すると、水上はやっと笑みを浮かべてくれる。
それは、とろけそうな、甘い甘い笑みだった。
「うん。病院以外では名前で呼んで」
甘さ全開の嬉しそうな笑みに勢いついて、柊子もずっと抱いていた希望を口にしてみた。
「じゃあ、私のことも呼んでくれますか?
“君”、じゃなくて」
「柊子」
柊子の言葉を遮るように、名前を呼ばれる。
水上の声で、名前を呼ばれた。
それだけで胸が震え、何があってもいいと思えてしまう。
「柊子、おいで」
二人は、体を寄せ合ったまま、ベランダから室内に戻る。
柊子、家では、“先生”じゃなくて、名前で呼んでくれ。
君の夫の名前、覚えているか?」
なんだか、いつもの落ち着いた水上じゃない。
ひどく情熱的で、怒っているのか、余裕の無い様子。こんな水上は初めてだ。
どうしたらいいか分からず、柊子は求められた彼の名前を声に乗せる。
「水上、洸平…。洸平、さん?」
初めて、その名前で呼んでみた。
すると、水上はやっと笑みを浮かべてくれる。
それは、とろけそうな、甘い甘い笑みだった。
「うん。病院以外では名前で呼んで」
甘さ全開の嬉しそうな笑みに勢いついて、柊子もずっと抱いていた希望を口にしてみた。
「じゃあ、私のことも呼んでくれますか?
“君”、じゃなくて」
「柊子」
柊子の言葉を遮るように、名前を呼ばれる。
水上の声で、名前を呼ばれた。
それだけで胸が震え、何があってもいいと思えてしまう。
「柊子、おいで」
二人は、体を寄せ合ったまま、ベランダから室内に戻る。