雨のリフレイン
玄関のドアが閉まり、洸平の足音が遠ざかった。


途端に柊子の体が震えてくる。


なんだか、怒涛の1日で信じられないけど。
私、大好きな人と…
洸平さんなんて下の名前で呼んで…


柊子はゆっくりと客間のベッドにもどった。
激しく乱れたシーツ。しゃがみこんでシーツに触れれば、洸平の匂いがする。



夢じゃないんだよね。



体のあちこちが痛む。
特に、洸平を受け入れた場所は、今だに違和感が残っている。その痛みだけが、夢じゃなく、あれは現実だったのだと教えてくれる。


「…っ」


大好きな人と心も体も一つになれた。
それは、夢のようでうれしい。

でも。

朝まで側にいて欲しかった。
夢じゃなかったのだと思えるまで側にいて欲しかった。



こんな幸せな日の最後がひとりぼっちなんて。



降り続く雨音は、柊子の嗚咽をかき消す。
涙はシーツが受け止めてくれる。
嬉しくて涙が出るのか。
寂しくて涙が出るのか。
わからないけれど、柊子はベッドサイドに座り込み、ベッドに顔を埋めて泣き続けた。






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