雨のリフレイン
「悪い、呼び出し。
あ、心配しないで。八坂さんじゃないよ。
でも、気持ちが落ち着いたら少しでも側にいたほうがいい」


柊子は、コクンとうなづいた。

だが、それは水上を安心させる為だけ。
本当は、弱っている母も、起きない父も見ていたくなかった。現実を受け入れたくなかった。だから、しばらくは戻らないつもりでいた。


「よし。
じゃあな」


くしゃっと柊子の頭をひと撫でして、水上は歩き出そうとして。

手にしていたコンビニの袋をふと見た。


「悪いんだけど、一つ、頼まれてくれないかな。
外科のナースステーションに、これ、届けておいて欲しいんだ。
一条って研修医に渡してって言ってくれれば、分かるから。
待ってるはずなんだよ」


急いでいる水上の様子に、思わずコンビニの袋を受け取る。


「よろしくな」


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