雨のリフレイン
「見た目?美人だよ。僕なんかにはもったいないくらい。僕より背も高いし。
水上とだったら釣り合い取れるだろうなぁ。
なんであんな美人で器量のいい女の子が僕なんかと付き合ってくれるのかわからない」
「僕なんかってなんだよ。
団長は、同期で一番頭良いし、超優しいし。カノジョ、見る目あるじゃん。
団長はカノジョのどこが好きなんだ?団長だってカノジョの見た目が気に入って付き合ってる訳じゃないだろ?
翔太と真逆の性格の団長は、見た目で選んだりしないもんな」
「見た目は派手な美人なんだけど、陰でびっくりするくらい努力してるところ。人前ではその努力を決して見せないんだよ。それがかわいくていじらしくて。
実はさ、今、一緒に暮らしてるんだ。
俺も彼女に負けないくらい頑張ろうと思う」
「だ…団長が、同棲!?マジかよ!?あの潔癖な団長が!?
そうか…本気なんだな…」
あの後、山岸はアメリカに行ってしまった。
噂では、三浦香織に言い寄られて逃げ出したと。
同棲までしていたカノジョを選んだ。きっとカノジョをアメリカに連れて行ったんだと。
そう思っていたけれど。
山岸のカノジョは、背の高い、見た目は派手な美人だと言っていたことを思い出す。
…もしかしたら、ずっと勘違いしていたのだろうか。
洸平は人影まばらな廊下の隅で、携帯電話を取り出す。登録されている連絡先の中から、山岸の名前を見つけ、一本のメールを送信した。
アドレスが変わっていないことを祈りながら。