雨のリフレイン
後から思えば、柊子の考えなど水上にはお見通しだった。
病院内に戻る為の理由を与えてやれば、戻らざるを得ない。


結果として、水上の読みは正しかった。


柊子がコンビニの袋を手にナースステーションに声をかけた、まさにその時。

集中治療室から慌ただしく看護師が飛び出してきた。

「八坂さんの、お嬢さん?
すぐにこちらへ!!」



静かに父が息を引き取る瞬間に、立ち会えた。
母と、水上と一緒にその瞬間を共有した。




逃げずに、母と水上と共に父の最期を見届けたことは、この後の柊子の人生を変えることとなる。




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