雨のリフレイン
ねじれた真実
「さてと。
なんだかんだで夕飯食べ損ねちゃったわ。駅までタクシーで行こうかしら」
「…色々すみませんでした」
三浦がタクシーを呼ぶために携帯電話を取り出した。柊子は、本当に申し訳なく思い頭を下げる。
その時だった。
「三浦先生」
低い男の声だった。病院の救急外来入り口の脇、柱に寄りかかるようにして、人影が二つある。
「急性アルコールの患者なんて、都合の良い事だと思ったけど…
…柊子?」
「え?」
闇に目をこらせば、そこにいたのは洸平だった。
ただ、一緒にいる人物に見覚えはない。
「君が急性アルコール中毒だったのか?」
「あ、いえ、違います。一緒にいた友人が…」
動揺してそれしか言えない。
三浦が行きたくないと言っていた飲みの相手が洸平だった。しかも、おそらくは三浦を捕まえるために、こんなところで待ち伏せのようなことをしていた。