雨のリフレイン
「水上、知ってる子?」
「あぁ…まぁな」
「じゃあ、あなたも一緒にどうだい?僕たち、食事まだなんだ。それなら君も、来てくれるだろう?
香織」


香織。洸平と一緒にいた男性にそう呼ばれた時、隣にいた柊子に伝わるほど三浦がビクッとした。


「いえ、私は…もう、帰らないと」
と断った柊子の腕を、三浦がぎゅっと掴んだ。
驚いて見れば、三浦のひどく狼狽えた目が柊子を見ている。助けを求めているかのように。


「じゃあ、皆でうちに来ないか?
ここから、歩いて10分かからないけど。
途中のコンビニで食べるもの何か買えば何とかなる」


洸平の提案に、さらに柊子はビックリする。


「み、水上先生のうち?」
「そう。なーんにもないうち」


どうも、隣の元々の洸平の部屋のことを言っているようだ。あの部屋は母が週に一度簡単に掃除しているが、わずかな洸平の荷物が残っているだけで確かに何もない。
てっきり母が隣の部屋で寝ている自分たちのうちの事かとビックリした。








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