雨のリフレイン

母と娘

父が亡くなって、母はそれまでのパートを辞めた。かわって、父が最期を迎えた光英大学病院で働き始めた。




「こんにちは」
「あっ、柊子ちゃん、おかえりなさい。
八坂さん、今、病室に行ってるわ」


看護師長山田静香(やまだ しずか)がナースステーションにいた。


突然父を失い、母は仕事を増やした。夜勤にも入るようになった。生活の為だと柊子もよくわかっている。

柊子は、1人の時間が増えた。
耐えられないほどの淋しさから、まず、食事が食べられなくなった。
そして、眠れなくなった。

柊子の状態に危機感を感じた母に連れられて、精神科に通うことを余儀なくされる。


そんな柊子を、周囲は心配してくれた。


特に、母と看護学校からの友達で、以前から交流のあった看護師長の山田。
彼女は、柊子が看護師の仕事に興味があるを知り、仕事の邪魔をしないことを大前提にナースステーションを訪れることができるようにしてくれた。


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