雨のリフレイン
「香織がお帰りといってくれれば、僕が止めていた時間がまた動き出す。
そうしたら僕は迷うことなく“三浦團”になって、これからはずっと香織の側にいる。
香織が、見た目はショボいけど、“アメリカ帰り”ってブランド付きの医者の婿を貰ってもいいっていうなら、言って」

「何言ってるの？
研究も順調で、あんな素晴らしい論文を発表して、アメリカで活躍してればいいじゃない！」

「香織？僕の論文、読んでくれたの？少しは気にしていてくれたんだ。嬉しいなぁ」

「…私にはもったいないほどの才能よ。
團は、名古屋でくすぶってるより、アメリカで活躍した方がいい」

「それじゃ本末転倒なんだ。
僕は別にアメリカなんてどうでもいい。ただ、三浦教授に認められて、香織の側にいれたらそれだけで充分なんだ。
香織、今、好きなやついるの？この4年間、君が一人でいたわけないよな」

「当たり前でしょ？私を誰だと思ってるのよ」

三浦の言葉はキツイが声は震えている。
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