雨のリフレイン
「あ、あの!山岸先生教えて下さい!
先生は、なぜ、三浦先生に相談もなくアメリカ留学を決めたんですか?」
三浦が帰るのをなんとか引き止めたくて、柊子は山岸に尋ねた。
「僕はね、普通のサラリーマン家庭に育ったんだ。特別金持ちでもないし、大学は特待生として成績優秀者は学費が免除されたから勉強ばかりしてきて、面白みもないし。見た目もしょぼいでしょ?
だから、メッキが欲しかったんだよ。香織のお父さん三浦教授に認めてもらえるような、特別なメッキが。それで、箔をつけようとアメリカ留学に応募してみたら行けることになって。
今思えば、ちゃんと香織と話し合えばよかった。
自分たちの未来について」
山岸は過去の自分を悔やむ。
「ごめん。ごめんなぁ、香織。僕が悪かった。所詮、僕は君とは釣り合わない。
だけどさ、君の力になりたいって思ってるよ。やっぱり僕じゃ、ダメ?」
「…本当にアメリカは、もういいの?」
「うん。いい。
香織はさ、派手に見えてすごく一途だから。ずっと僕のことを忘れずに待っていてくれる。
出立した頃の僕は何故かそんな自信があって。時間が経つにつれて、後悔したよ。今思えば、本当に馬鹿。身の程をわきまえろって言ってやりたいよ」
「4年間も無駄じゃなかったわね。團がいつになく饒舌で驚いたわよ」
三浦は小さく笑って、ゆっくりと山岸を見た。四年も経ってやっとわかった山岸の本心。変わらぬ愛情に、胸が震えた。
ーー今しかない。やり直せるのは、今しかない。
三浦は意を決して口を開いた。
「團、本当はあの時アメリカに行って欲しくなかったの。結婚なんてしなくてもいいから、側にいてほしかった。あの頃は意地っ張りで言えなかったけど。だから、おあいこね。私もプライドなんて気にしないで貴方にしがみつけばよかった。ずっと後悔してたの。馬鹿よね」
先生は、なぜ、三浦先生に相談もなくアメリカ留学を決めたんですか?」
三浦が帰るのをなんとか引き止めたくて、柊子は山岸に尋ねた。
「僕はね、普通のサラリーマン家庭に育ったんだ。特別金持ちでもないし、大学は特待生として成績優秀者は学費が免除されたから勉強ばかりしてきて、面白みもないし。見た目もしょぼいでしょ?
だから、メッキが欲しかったんだよ。香織のお父さん三浦教授に認めてもらえるような、特別なメッキが。それで、箔をつけようとアメリカ留学に応募してみたら行けることになって。
今思えば、ちゃんと香織と話し合えばよかった。
自分たちの未来について」
山岸は過去の自分を悔やむ。
「ごめん。ごめんなぁ、香織。僕が悪かった。所詮、僕は君とは釣り合わない。
だけどさ、君の力になりたいって思ってるよ。やっぱり僕じゃ、ダメ?」
「…本当にアメリカは、もういいの?」
「うん。いい。
香織はさ、派手に見えてすごく一途だから。ずっと僕のことを忘れずに待っていてくれる。
出立した頃の僕は何故かそんな自信があって。時間が経つにつれて、後悔したよ。今思えば、本当に馬鹿。身の程をわきまえろって言ってやりたいよ」
「4年間も無駄じゃなかったわね。團がいつになく饒舌で驚いたわよ」
三浦は小さく笑って、ゆっくりと山岸を見た。四年も経ってやっとわかった山岸の本心。変わらぬ愛情に、胸が震えた。
ーー今しかない。やり直せるのは、今しかない。
三浦は意を決して口を開いた。
「團、本当はあの時アメリカに行って欲しくなかったの。結婚なんてしなくてもいいから、側にいてほしかった。あの頃は意地っ張りで言えなかったけど。だから、おあいこね。私もプライドなんて気にしないで貴方にしがみつけばよかった。ずっと後悔してたの。馬鹿よね」