雨のリフレイン
山岸と三浦は体を寄せ合い、仲睦まじく帰っていった。
そんな二人の後ろ姿をベランダから見送りながら洸平がボヤく。

「あれ、見ろよ。散々グズグズしてたくせに、めちゃくちゃラブラブ見せつけやがって」
「超怖いって有名な三浦先生のあんな姿。私の同級生が見たら卒倒しそう。
…それにしても。
ラブラブなんて言葉が、洸平さんから出てくるなんて」

思わずクスクスと笑ってしまう。
笑われて洸平はむすっとする。

「悪かったな、似合わないこと言って」

柊子はおかしいのを我慢して噛み殺し、二人の後ろ姿を見つめた。

「でも、よかった。お二人、幸せそうですね。なんだかこっちまで嬉しい」
「そうだな。三浦先生には悪いことしたよ。
団長のカノジョが三浦先生だなんて思ってもみなくて。団長が三浦先生から逃げるためにアメリカに行ったって噂を信じてしまった。
…ずっと、辛かっただろうな」


そう言って二人を見つめる洸平の横顔を、柊子はちらっと見る。


「ん?どうした?」
「いえ。
じゃあ、私、レポート仕上げてきますね。あ、そうだ。さっきのコンビニの唐揚げ、夜食にもらっていいですか?」
「構わないよ。欲しいものあったら食べろ」
「ありがとうございます」

柊子はベランダから部屋に戻って、コンビニの袋をのぞきこんだ。


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