雨のリフレイン
「圭太くん、ありがとう。私も、病院付き添ってくるね」
「あぁ。オレも行こうか?」
「大丈夫。主治医の水上先生もいるし、点滴したら帰れるみたいだし。
この後、みんなで飲みに行くんでしょ?」

柊子は圭太からカメラを受け取り、優しい申し出を断った。

「卒業式だっていうのに、八坂も大変だな。
アレか?水上先生が保護者席にいたのも、お母さんの付き添いだったのか?」
「あ、うん。そうなの」
「ふぅん。
でもさ…主治医だからって、そこまでしてくれるかね?」


圭太の疑問に、ドキッとする。
あれは、主治医というか、家族として座ってたなんて、言えない。

家族。
それも、もうすぐ柊子の示した期限になる。
このまま続けていくか。それとも、リセットするか。その話もしなければならない。

今日は、柊子の卒業祝いをしてくれることになっている。その時、二人きりになれるチャンスがあれば、これからのことについて話をしたい。あまり、ズルズルと先延ばしにしたくなかった。


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