雨のリフレイン
その一言で、みるみる洸平の表情が硬くなる。怒りすら滲み出るようだ。


「…!縁起でもないことを言うんじゃない。
そもそも婚姻は、期限のない契約のはずだ。
柊子はなぜ、わざわざ期限を設けようとする?」


「なぜ…」


なぜか。答えは一つ。洸平の気持ちがわからないから。
期限があれば、それまでは大丈夫だと安心できるから。絶対的な安心が欲しいのだ。


だから、尋ねればいい。洸平の気持ちを。


ーーずっとそばにいていいの?私のこと、好き?


さぁ、勇気を出して聞いてしまえ。きっと、望み通りの答えが返ってくるから…


だが、なかなか言い出せない。言葉は喉につかえたように、声にならない。
唇を何とか開いて息を吸う。吐き出す息と共に言葉にしようとした時だった。



「…結局、柊子は俺を信じていないってことなんだよ」


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