雨のリフレイン
「看護師の資格は取れたんだし。
仕事は、赤ちゃん産んでからやり直せばいいと思うわ。私も協力するから、心配しないで」
マンションに帰ってきて、母は落ち着きを取り戻した。
「問題は、洸平くんよね。今、すごく忙しいと思うけど、大丈夫かしら。
そろそろお昼だし、電話してもいいわよね」
「待って、お母さん!」
携帯電話を手にした母を慌てて止める。
「待ってよ。
やめて。電話なんてしないで。知らせないで」
「柊子?」
母の腕を掴んで柊子は首を横に振った。
「最初から、子供は必要ないと。
だから、洸平さんには迷惑にしかならない。
お母さん、私、どうしたらいいかわからないよ」
「…洸平くんが、そんなことを?
信じられない。子供は必要ないって?」
柊子が青ざめて小さくうなづくのを、信じられない思いで見つめる信子。