雨のリフレイン
ーーいいよ、柊子がそうしたいなら。期限をつけてもいいし、今すぐ籍を抜いてもいい。
慰謝料として当面の信子さんの治療費に充てられるくらいの金も用意するし。


洸平が最後に柊子にかけた言葉を母に告げた。
それから、ゆっくりと結婚に至った動機も話した。


ひとしきり柊子の話をきいて、母は、特大のため息をついた。


「呆れた。信じられない。
バカね、柊子。何やってるのよ。
気づかなかったの?洸平くん、あなたのことあんなに大事にしてくれて。そんなの、好きだからに決まってるでしょう?」
「…そうかな。それってうぬぼれじゃない?」
「あのさ、柊子。
洸平くんが好きでもない子と同情で結婚出来るような、そんな人じゃないこと、あなたが一番わかってるんじゃないの?
口下手だけど、ちゃんと態度で示してたじゃない。子供は必要ないっていうのも多分、あなたがまだ学生だったから気を使ってくれただけよ」

母は優しく柊子の肩を抱いてくれた。

「まだ、遅くない。
きちんと顔を合わせて、話し合っておいで。
大丈夫。きっと洸平くんは喜んでくれるから」





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