雨のリフレイン

夏の奇跡

「今年の夏も暑いわね」
山田師長が、エアコンの風向きを変えながら汗を拭う。

あっという間に七月になった。
洸平が横浜に行って三カ月。一切の連絡はない。
会いたいと送ったメッセージの返信もないまま、ズルズルと日々だけが過ぎていく。

「柊子ちゃん、今日から桜木さんがいつもの検査入院よ。よろしくね」

「あ、はい」

ヤクザの親分桜木一樹は、半年ごとに検査の為の入院をする。アルバイトをしていた頃から柊子を気に入って、入院のたびに柊子を担当に指名していた。
本来は指名など出来ないのだが、彼の職業柄、皆進んで担当するのをためらうので、本人の希望を尊重して柊子が担当させてもらっていた。
しかも、今回からはようやく看護師として担当できる。



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