雨のリフレイン
「柊子さん、奇跡が起きたんだ。
死んだと思っていた娘が生きていたんだよ。
こんな奇跡が起きるなんて、俺の人生もそんなに悪くねぇな」


桜木の娘はまだ赤ちゃんの時に母親と共に死んだときいていた。にわかに信じられないが、娘だと直感したのは柊子本人だ。


「信じられない…。でも、不思議。離れて暮らしていても、似てる。親子なんですね。血の繋がりってすごい。
桜木さん。奇跡って本当に起きるものなんですね」
「そう言ってもらえて嬉しいです。
いぶき、と申します。よろしくお願いします」

桜木の娘いぶきは、まだ若いのにしっかりとしている。その落ち着いた物腰に柊子は驚きつつ、動揺したままの自分を反省した。


「いやだ、年上の私がこんなに動揺していて恥ずかしい。
はじめまして、私が桜木さんを担当します、八坂柊子です。よろしくお願いします」

柊子は、改めて挨拶をした。
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