雨のリフレイン
「八坂、柊子？
もしかして、翔太がお気に入りの“柊子ちゃん”ですか？」

柊子の名前に反応したのは、桜木いぶきの隣にいた男の子だ。
いぶきの存在に驚いて気づかなかったが、こちらも整った顔立ちの、若いけれどいぶき同様どこか落ち着きのある大人びた少年だ。

「翔太先生をご存知なんですか？」
「あぁ、失礼しました。
私は、一条拓人。翔太のイトコです」

その名前は知っている。一条家の御曹司で次期当主。翔太がべた褒めしていた、すごいヤツと。
さすが高校生とは思えない佇まいだ。

「翔太があなたのことをいつも気にかけていたので、てっきり翔太とくっつくものだと思っていましたが。あ、いや。水上先生にはいつもお世話になっています」

柊子は、何も言えずただペコッと頭を下げた。

水上の名前が出たということは、結婚のことを知っているのだろう。複雑な気分だ。
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