雨のリフレイン
反論する信子に鈴枝は、フンと鼻を鳴らした。
それからバックの中から数枚の写真を取り出した。


「そもそも、不釣り合いなんですよ。
あなた方は、水上家がどれほどの家かご存知ないのね?」


鈴枝が出した写真に目を落として見る。
大きく荘厳な雰囲気のある白い洋館をバックに、痩せて青白い男性と、派手な蝶の柄の着物を着た鈴枝。二人に挟まれて、色白でメガネをかけたひどく太った小学生くらいの男の子。
両側の庭にはよく手入れされた薔薇がこれでもかと咲き乱れている。


「いかが?」
「立派なおうち…ですね」


なんと言ったらいいかわからず、柊子はとりあえず家を褒めた。


「でしょう?
こちらが息子ですの。もう今年には、大学を卒業いたします。まだ若いけれど、いずれ父親の会社を継ぐべく勉強しておりますわ。
洸平さんはお医者様になりたいと、家を出てしまいましたけれど、常日頃から心配しておりましたの。
この度、良縁に恵まれて喜んでいたのに」



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