雨のリフレイン
そこで言葉を切り、鈴枝はギロリと柊子を睨んだ。

「こんな子に引っかかっていたなんて。
あなたは、水上家に必要ない。むしろ、害虫よ。
さっさと出て行って」
「が…害虫って…人の娘を捕まえて何て言い草!」

信子は顔を真っ赤にして、今にも掴みかかりそうな勢いだ。

「お母さん、落ち着いて。
…私は洸平さんの意思で別れたいなら、従うつもりよ。
でも、あなたの都合であなたの思い通りに別れるなんてあり得ません」

睨まれても一歩も引かず、柊子は鈴枝に真正面から挑んだ。

「洸平さんの意思なんて関係ないわ。
家の為の結婚は、水上家に生まれた者の宿命よ。
まぁ、庶民的なあなた方には分からない世界でしょうけれど。
お金は差し上げると言っているのに、何故そんなに頑ななの?水上の名前が魅力的なのもわかるけれど…
このままでは、詐欺罪であなた方を訴えることになるわよ」


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