雨のリフレイン

「お母さん落ち着いて」


柊子は、母の手首に触れて脈をみる。ひどく早い。少しだが、熱もあるようだ。

「すみませんが、水上さん、とりあえず今日はお引き取りを。
今日は、これ以上のお話は無理です」

興奮して赤くなっていた母の顔が次第に青くなっていた。鈴枝も仕方ないと、肩をすくめる。


「まぁ、急な話で驚いたと思うから今日は一旦帰ります。お母様と欲しい金額を相談しておいて。
これ、わたくしの連絡先。
なるべく早く連絡下さいね、先方はすぐにでも結婚に向けての話を進めたいとおっしゃってくださってるの。
言っておきますけど。
逃げようとしても無駄ですよ。わたくしには心強いお友達がたくさんいるの。あなた方二人くらい、どうにでもなるって知っておいてね。行方不明からの横浜の海で親子心中の死体発見とか、怖いわね」

「…！？」

最後にきっちりと脅しを繰り出して、電話のメモを残して鈴枝は去って行った。