雨のリフレイン
「お母さん、大丈夫?病院、行く?」
「なんなの、あの女!
洸平くんの、言ってた通り。ひどい女」
「興奮しないで。ごめんね、変なことに巻き込んで」

柊子達も遅れて喫茶店を出る。足取りがふらつく母を支えながら、マンションに戻る。



「洸平くんと、翔太先生に、相談しましょ?」
「…でも、今、二人とも仕事がすごく忙しいし」

送ったメッセージすら既読無視だったことが、柊子にブレーキをかける。

「あの女、何するか、わからないわ。
柊子、アンタは、一人の体じゃないの。もし、お腹に、赤ちゃんがいるなんて、知られたら、大変よ」

柊子は、そっと腹部に手を当てる。

「わかってるよ。一番は、赤ちゃん」
「そうよ。
大丈夫よ、バァバが、ついてましゅからねー。心配しないで、大きくなるのよー」

母は、柔らかな笑みで柊子のお腹に話しかける。
その手でお腹に触れようとして…

そのまま、倒れた。

「お母さん!?
お母さん、しっかりして!お母さんっ!!」








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