雨のリフレイン

待ち人来ず



「あーしんどい。これじゃ体がもたない!
洸平悪いなぁ。全然帰れなくて、柊子ちゃん心配してるだろう」

光英大学附属横浜新医療センター。
既に15時だったが、ようやく昼食にありつけた翔太と洸平。

「翔太…」

洸平は、疲労の滲む顔で白衣のポケットから一通の手紙を取り出す。

差出人は、水上鈴枝。
翔太は、サッと内容を確認した。

「やっぱり、動き出したよ。柊子のことまで調べている」
「…心配するな。こっちで、何とかする。
この手紙は、預からせて」

宛名は洸平。住所はこの医療センター。
ここに勤めていることも既に知られていた。
手紙の内容は、横浜の大病院の娘との結婚を勧めるもの。柊子のことも調査したようで、偽装結婚だとか、手切れ金を用意するとか、書いてある。


もう、柊子には接触したんだろうか。
あんな蛇のような執念の女、柊子や信子に会わせたくない。


洸平は、携帯電話を取り出し、メッセージアプリを開いた。


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