雨のリフレイン
翔太に背中を押され、久しぶりに柊子に電話をかける。だが、電源が切ってあるか電波が届かないとの無情なメッセージが流れた。


結局、この日、柊子は現れなかった。
電話もずっと繋がらないまま。試しに信子の電話にもかけてみたが、こちらも繋がらない。


何か、あったのだろうか。


心配は募るが、次の休みは5日後の予定だった。それまでには電話も繋がるだろう。電話がダメでもとりあえず東京に帰ろうと、洸平はやっと決心した。


いつまでもこのままでは、ダメだ。逃げてばかりでは、ダメだ。柊子は何を望んでいるのか、どんな関係を求めているのか、キチンと話し合おう。
あの魔女に付け入る隙など与えるものか。


後妻からの手紙が、洸平を動かすキッカケになった。


洸平は携帯電話を手にとって、ポンと画面に触れた。
待ち受け画面は、二人のウェディングフォトだ。満面の笑みで洸平を見つめてくれる柊子がそこにいた。


どうしたら、君を笑顔にできるのだろう。
どうしたら、君を幸せにできるのだろう。
俺は親にも愛されないような人間だ。君に愛される資格なんてないのかもしれない。
愛と笑顔のあふれる幸せな家庭が理想だなんておこがましいけれど、君となら…
いや。
君と築いていきたい。


素直に言ってみよう。きっと、柊子はうなづいてくれる。




そう固く心に決めて、5日後洸平は東京に帰る。



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