雨のリフレイン
柊子、どこにいる。何があったんだ。

訳もわからず、柊子の私物を持ってマンションに戻ったその時だ。
家の固定電話がけたたましく鳴っていた。
玄関から慌てて電話機のあるリビングへ急ぐが間に合わず、電話は留守電に切り替わってしまう。
すると…

「八坂さん？アンタ、いつまで勿体つけるんだ？
優しい奥さまも、そろそろ我慢の限界だぞ。今ならまだ金も出してくれる。サッサとしな」

ドスの効いた男の声だ。脅しのようなメッセージを残し、ガチャンと切れた。

洸平は、身震いした。
このやり方には覚えがある。

恐る恐る、電話機の留守番電話の再生ボタンをおした。

「メッセージは、99件です」

先ほどの男の声の脅しのようなメッセージが延々と続く。
洸平は恐ろしくなって慌てて再生停止した。

間違いない。鈴枝が絡んでいる。このやり方は、あの女の常套手段だ。父と結婚する以前ホステスをしていた頃から付き合いがあるヤクザに手を回しているのだ。


柊子と信子は、無事なのだろうか。


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