雨のリフレイン
不意に降り始めた雨の匂いがした。




あぁ。これで、泣ける。
怖かったと、泣ける。
痛いと、泣ける。


ねぇ。

私、頑張ったよね?
私、ちゃんと笑顔でいられたよね?
あの人がこの事を知ったら、褒めてくれるかな。


無理させてごめんね。
でも、こんな時に役に立たなければ、私は看護師とはいえない。


これが、私の生き方なの。
たぶん、あの人も同じことすると思うわ。


本当は、痛かったし、怖かったし、何よりあなたのことを一番に守りたかった。




…愛してる。



だから、行かないで。
一緒にいて。






もう、誰も失いたくないの。





そう祈りながら、柊子は意識を手放した…


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