雨のリフレイン
救われた心
…痛い。痛い。身体中がきしむように痛い。
特に頭がズキズキする。痛すぎて寝ていられない。
柊子は目を開けた。視界に飛び込んできたのは真っ白な天井だった。
ーーあれ、ここ、どこだろう。
ゆっくりと首を回す。
カーテンで仕切られているけれど、周りに設置されている機械類といい、キビキビ動くたくさんの看護師といい、集中治療室のような気がした。
ーーここ、病院?
どうして、病院にいるんだろう。
横浜に行く為に、バスに乗っていたはずなのに。
頭が痛くて考えることができない。
ぼんやりと天井を見つめた。
「ルリママ、無事で良かった。
驚いたよ、まさかあのバスに乗ってたなんて!幸い、体の方は大きな問題なさそうだけど。
本当に良かった」
「こっちこそ、驚いたよ。まさかあんな事故に遭うなんてさ。しかも、若先生の勤める病院に担ぎ込まれるとは。長く生きてると色んな驚きがあるわね」
隣の患者だろうか。男性と女性が話している声が聞こえた。
事故…?
乗っていたバスが、トラックとぶつかった。
泣き叫ぶ声。血の匂い。潰れた車体。粉々のガラス。
恐ろしい惨劇の画像が脳裏に浮かぶ。
途端に痛みと恐怖で体が震えた。