雨のリフレイン
さっきから、記憶が途切れ途切れだ。
バスに突っ込んだトラック。
パニックを起こしていた乗客。
泣き叫ぶ子供。
救急車。
それらがパッと脳裏に浮かんでは、すぐに曖昧になる。
ひどい頭痛のせいかもしれない。


「事故…
すみません。頭が痛くて。吐き気も」

「うん。わかった。薬、出すから。
しばらく、落ち着くまで入院ね」


翔太が看護師に何かを指示している姿が見えた。
今はとにかく頭が痛くて、何も考えたくない。



「…ウッ」

突然、激しい吐き気に見舞われた。


< 276 / 302 >

この作品をシェア

pagetop