雨のリフレイン
洸平。翔太がそう呼んだ。

ーーそうか。ここは洸平さんがいる光英大学附属横浜新医療センター。あの後ろ姿は、洸平さんだ。

あれ、私。洸平さんに言わなきゃいけないことあったんだ。
何だっけ。
何だっけ。

ズキンと頭が痛む。なんだかお腹も痛い。


お腹…


そうだ。私。


「…っ」

お腹を両手で押さえ、海老のように丸くなる。
赤ちゃん、無事?大丈夫?


「お腹、痛むみたいだな。桜川先生、呼ぶか?」
「少し、様子を見る。異常があればすぐに知らせるから」
「…そうか。そうだな。わかった。後は任せる。何かあればいつでも呼んで」
「あぁ。ありがとう、翔太」


目が開けられない。
やっと会えたのに。まさか、こんな形で会うなんて思いもしなくて。妊娠だってわかったはずだ。
あれほど直接会って自分の口から伝えたかったのに。


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