雨のリフレイン
2.思いがけない提案
大学三年生
思えば、あれは初恋だった。
柊子は、水上のことを思うと、いつでも胸がキュンとする。
父の最期の日に出会い、その瞬間に立ち合ってくれた水上とは、運命的なものを感じていた。彼も、心が折れていた柊子を結構気にかけてくれていたと思う。
でも、彼に何度好きだと告げても、本気にしてもらえない。
柊子が大学に入学した年に、水上は大学病院から少し離れた救急病院に行ってしまった。
近くに住んでいる事もあり、時々、翔太に誘われて水上も一緒に食事に行くことはある。だけど、それ以上は全く進展のないまま3年が経っていた。
「柊子、レポート終わった?」
柊子は大学三年生になっていた。
「愛美は?」
「私は終わったよ!」
同級生の森愛美(もり まなみ)は、飲みかけのジュースを一息に飲みきってから、首を回した。
愛美は、オシャレに余念がない。
いつもキチンと化粧をして、服装も女の子らしいスカートが多い。しかも、よく似合う。
その辺のアイドルより可愛くて、柊子の自慢の友達だ。
そんな彼女は、医師との結婚を夢見て看護師を目指している。
そのパワーは、凄まじい。