雨のリフレイン
窓には無数の雨粒。三浦家自慢の純和風の庭は、しっとりと濡れ、池の水面には無数の波紋が広がっていた。
本降りの雨音も、柊子の笑い声にかき消される。
満面の笑みを洸平に向けてくれる。
これでいい。もう雨に隠れて泣かせたりしない。
泣きたいときは、一番近くで寄り添うから。一人で泣かせたりしない。
もう、迷いはなかった。
目の前の幸せに、そっと手を伸ばす。
「洸平さん?」
優しく肩を抱かれて、柊子が可愛らしい声で洸平の名を呼ぶ。彼女の声も仕草も何もかもが洸平に幸せをもたらしてくれる。
「翔太がこき使うから、柊子にも子供にも淋しい思いを繰り返しさせるかもしれない。
でも、時間を見つけて必ず帰るから」
「大丈夫。心配しないで。
今までのように助けられる命がそこにあるなら、迷わず助けて。洸平さんにはそれが出来る。尊い仕事だから。
どんなに淋しくても、必ず幸せな時間も繰り返すわ。会えた時はたっぷりと甘えさせてもらう。
だから私なら大丈夫。もう、迷わないから」
そう言って、そっと洸平に体を預ける柊子。
柊子も、彼の温もりを感じられる静かで穏やかな時間に、無上の幸せを覚えた。
不意にそれまで笑い声にかき消されていた、雨の音に気づいた。
もう、泣かない。
雨の日に、一人で泣いたりしない。
だって、こんなに愛されている。信じられないほどに、甘やかされて。
わたしは、妻で娘で、これからお母さんになる。でも、看護師の仕事にも誇りを持っている。必ずいずれ仕事に戻りたい。
きっと家族が増えて忙しいけれど、充実した未来が待ってる。
どうか未来は、この幸せがたくさん繰り返す日々でありますように…
終
本降りの雨音も、柊子の笑い声にかき消される。
満面の笑みを洸平に向けてくれる。
これでいい。もう雨に隠れて泣かせたりしない。
泣きたいときは、一番近くで寄り添うから。一人で泣かせたりしない。
もう、迷いはなかった。
目の前の幸せに、そっと手を伸ばす。
「洸平さん?」
優しく肩を抱かれて、柊子が可愛らしい声で洸平の名を呼ぶ。彼女の声も仕草も何もかもが洸平に幸せをもたらしてくれる。
「翔太がこき使うから、柊子にも子供にも淋しい思いを繰り返しさせるかもしれない。
でも、時間を見つけて必ず帰るから」
「大丈夫。心配しないで。
今までのように助けられる命がそこにあるなら、迷わず助けて。洸平さんにはそれが出来る。尊い仕事だから。
どんなに淋しくても、必ず幸せな時間も繰り返すわ。会えた時はたっぷりと甘えさせてもらう。
だから私なら大丈夫。もう、迷わないから」
そう言って、そっと洸平に体を預ける柊子。
柊子も、彼の温もりを感じられる静かで穏やかな時間に、無上の幸せを覚えた。
不意にそれまで笑い声にかき消されていた、雨の音に気づいた。
もう、泣かない。
雨の日に、一人で泣いたりしない。
だって、こんなに愛されている。信じられないほどに、甘やかされて。
わたしは、妻で娘で、これからお母さんになる。でも、看護師の仕事にも誇りを持っている。必ずいずれ仕事に戻りたい。
きっと家族が増えて忙しいけれど、充実した未来が待ってる。
どうか未来は、この幸せがたくさん繰り返す日々でありますように…
終