雨のリフレイン
柊子が大学に入ってしばらくした頃。
元気が取り柄の母がなんだか具合が悪い、と言い出した。
滅多に休む事のなかった仕事も、度々休まなければならないほど。

ただの更年期症状だから、と渋る母を無理やり検査してもらうと。


やはり、病気だった。
しかも、手術をしても、5年生存率50パーセントと、告げられた。


現在は、治療を受けながら、それでも看護師の仕事を続けている。
自分と同じ看護師という仕事を目指す柊子に、仕事の素晴らしさを伝えたい。母の背中を覚えていて欲しいから、と。

だから、勉強の合間に、大学病院で看護助手のアルバイトをしながら、母の姿を見せてもらっている。

看護学生の勉強の忙しさは、皆、よくわかっているから、勉強最優先で、時間がある時だけ、アルバイトをさせてもらっている。


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