雨のリフレイン
柊子は、桜木を車椅子に乗せて、早速検査室に向かう。

一つ検査が終われば病室に戻り、また呼ばれて検査。



「桜木さん、ご家族は?」

検査を待っている間、柊子が桜木に話しかけた。

「気楽な独りもんさ。
まぁ、慕ってくれる舎弟がいるから、アイツらが家族みたいなもんかな。
柊子さんは、お母さんと二人だったね。お母さんの自慢の娘さんだ」
「お母さん、私のことなんて言ってますか?」
「元気で明るい笑顔が取り柄だと。
どんなに辛くても娘の笑顔があれば、頑張れると」
「えー、そんなことを!?恥ずかしいなぁ」

柊子は、頬を染める。そんな初々しい様子が可愛らしくて、桜木も笑顔になる。

「でも、確かに柊子さんの笑顔はいいよ。
普通の若いお嬢さんは、あれだけのヤクザを前にしたら怯えてしまう。無理に笑ったところで、引きつった笑顔が関の山。
だが、柊子さんは違った。
アンタの笑顔は向日葵のようだ。明るくて、元気をくれる笑顔だ」


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