雨のリフレイン
「水上先生、どうして光英大学病院でアルバイトすることになったって教えてくれなかったんですか?」
「山形先生が怪我を治すまでの臨時のバイトだ。
いちいち言う必要ないだろ」


柊子の問いかけに返ってきた答えは、ひどく冷たくそっけない。


「…そう、ですね。
いやぁ、いきなり水上先生が現れるから、びっくりして…」


ーーほら、やっぱり。

水上先生は、私にいつも冷たい。
面倒くさいって、嫌われてるんだろうな。
でも、お母さんの病気のこともあるし、私は水上先生と翔太先生のご厚意に甘えて、お二人に頼らないと生きていけない。


柊子は、黙って水上の後ろを少し距離を置いて歩く。


マンションまでの道のりがいつもよりひどく遠く感じる。
体の芯まで冷えて、心まで寒い。

ふと、コンビニのが目にとまる。『温かい飲み物あります』の文字に思わず足をとめた。


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