雨のリフレイン
ーー今まで、同居したいなんて言ったこともないのに、一体どうしたんだろう。
柊子は、母の様子をうかがう。
笑ってみせているけれど、顔色は悪い。目にも力はなく、疲労感が全体的に漂ってみえる。
「お母さん、具合悪いんでしょ。
後片付けやっておくから、もう、休んで」
柊子は、箸を置くと母のおデコにそっと手を当てた。
わずかにいつもより熱い気がする。
「でも、2人並んでる姿を見ていたいの。
大丈夫よ。
私、柊子が一人前の看護師になるまでは絶対に死なないし。
柊子の花嫁姿も見たいし。孫も抱きたい。
だから、絶対に病気になんて負けてたまるもんですか」
ーーあぁ。
本当は、ツライんだ、お母さん。
桜木さんと同じ。
生きる目標を糧にして病気と闘う力を絞り出している。
「信子さん。
それなら尚更のこと今日はもう休んだほうがいい。
無理は禁物です。
大丈夫、彼女は優秀だそうなので来年には立派な看護師になれますよ」