雨のリフレイン
水上の言葉が胸にささる。

何かあったら、お母さんを助けられるのは、私。

その思いで母のベットの側に布団を敷いて体を横たえた。
母の規則正しい寝息が聞こえる。

その寝息に耳を傾けながら、水上に思いを馳せた。


大好きな人。
一緒にお母さんのご飯を食べてくれる。あんまり私とは話が弾んだりはしないけど、隣でおんなじご飯を食べている時は、とても幸せで贅沢な時間だと感じる。


看護師になれたら、私のこと少しは認めてくれるかな。


今は名前すら、呼んでもらえない。


こんなに、好きなのに。
こんなに、近くにいるのに。


「う…」


母の規則正しかった寝息が不意に途切れた。
すぐに苦しげな荒い息遣いに変わる。


「お母さん?」


柊子は飛び起きた。
時計は午前2時を少し回ったところだ。


落ち着いて、血圧を測り、脈をとる。
体が熱い。熱が上がっている。


柊子は即座に電話に飛びついた。


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