雨のリフレイン

水上の目が真っ直ぐに柊子を見ている。

普段はあまり目を合わせてくれない。
それでも、柊子にとって一番大切な瞬間、水上の瞳は柊子だけを映してくれる。


父を亡くした時も。
心の均衡を保っていられなくなりそうになると、必ず柊子を現実に引き戻してくれる、水上の瞳が今も柊子を映していた。


「…先生。
なぜ?
なぜ、そこまでしてくれるんですか?
私はずっと、水上先生が好きです。
母も、先生をすごく気に入っていて、何かと世話を焼くことを楽しみにしていました。
でも、それは、私達親子の一方的な押し付け。
先生がそれに無理に応える必要なんてないんですよ。
私達に構うことなく、先生はスーパードクター目指して頑張って下さい。私達なら、大丈夫だから。
先生のこと、応援してます」


柊子は、全てを悟った様子で水上を突き放す。

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