雨のリフレイン
「俺、別に医者になりたかったわけじゃないんだ。
小学生の時に母親が病気で亡くなって、すぐに父は後妻を迎えて。その後妻が俺をものすごく毛嫌いして、中学から寮のある学校に無理やり入れたんだ。それからはほとんど家に帰ってない。
俺は、厄介者として捨てられた。
それが悔しくて、少しでも親の金を使ってやろうと。それで医学部を選んだ。
そんな風に選んだ医師の道だった」
今、医師という仕事に真摯に取り組んでいる、真面目な水上から、驚きの告白。
「信じられない。水上先生が?」
「あぁ。
そんな俺があの日、一人の高校生にあった。父親の死を悟っていながら、周りを気にして明るく振る舞うような、強い女の子。
あの時、本気で命を救いたいって思った。この子を泣かせたくないって。俺にはそれが出来るかもしれないって思った。
あの時、やっと医師としての自覚が芽生えたんだ。
それからは信子さんが看護師として、俺を育ててくれた。俺を医師にしてくれた二人を、今度は俺が助けたい」
水上は、そっと柊子に手を差し伸べた。
「今、救える君たちに、手を差し出さなければ、俺は一生後悔するだろう。
卒業して、看護師として一人前になって、自立できるまで。俺が信子さんに代わって君を守る。
もちろん、途中ですごく好きなヤツでも出来て、俺より君に相応しいと信子さんが判断したなら、ちゃんとそいつに君を任せるから。
君は、とにかく勉強を続けろ」
「や…やだ、先生。
私を守るだなんて。
勘違いしちゃうから、やめて下さい。
まるで恋の告白か、プロポーズみたい」
強がって、わざと茶化して笑ってみせる。
本当は、泣きたい。目の前の大好きな人にすがりついて泣きたい。
でも、泣いても何も解決しないし、水上を困らせるだけだ。
小学生の時に母親が病気で亡くなって、すぐに父は後妻を迎えて。その後妻が俺をものすごく毛嫌いして、中学から寮のある学校に無理やり入れたんだ。それからはほとんど家に帰ってない。
俺は、厄介者として捨てられた。
それが悔しくて、少しでも親の金を使ってやろうと。それで医学部を選んだ。
そんな風に選んだ医師の道だった」
今、医師という仕事に真摯に取り組んでいる、真面目な水上から、驚きの告白。
「信じられない。水上先生が?」
「あぁ。
そんな俺があの日、一人の高校生にあった。父親の死を悟っていながら、周りを気にして明るく振る舞うような、強い女の子。
あの時、本気で命を救いたいって思った。この子を泣かせたくないって。俺にはそれが出来るかもしれないって思った。
あの時、やっと医師としての自覚が芽生えたんだ。
それからは信子さんが看護師として、俺を育ててくれた。俺を医師にしてくれた二人を、今度は俺が助けたい」
水上は、そっと柊子に手を差し伸べた。
「今、救える君たちに、手を差し出さなければ、俺は一生後悔するだろう。
卒業して、看護師として一人前になって、自立できるまで。俺が信子さんに代わって君を守る。
もちろん、途中ですごく好きなヤツでも出来て、俺より君に相応しいと信子さんが判断したなら、ちゃんとそいつに君を任せるから。
君は、とにかく勉強を続けろ」
「や…やだ、先生。
私を守るだなんて。
勘違いしちゃうから、やめて下さい。
まるで恋の告白か、プロポーズみたい」
強がって、わざと茶化して笑ってみせる。
本当は、泣きたい。目の前の大好きな人にすがりついて泣きたい。
でも、泣いても何も解決しないし、水上を困らせるだけだ。