雨のリフレイン

「…そうか。
それなら、全て解決するな。
信子さんに、君の花嫁姿を見せられる。家族になれば、俺が君たちの生活の面倒を見ることに必然が生じる。
色々と、都合のいいことばかりだな」

良いアイデアが浮かんだとばかりに、水上が言い出した。思いもしなかった提案に柊子は焦る。

「先生、冗談ですよ？結婚なんて、あり得ないから」
「あり得ない？なぜ？」
「なぜって、当たり前です。
私はまだ看護学生で。先生は、もう立派なドクターで。誰が見ても、不釣り合いだし」
「“誰か”の為に結婚するんじゃないから、言いたいヤツには言わせておけばいい」
「先生には、結婚で何ひとつメリットになるもの無いです」
「結婚のメリット？色々あるぞ。金銭面では、あまり詳しくないが配偶者手当や税金の控除とかあるはずだ。
まぁ、子供も要らないから入籍しなくてもいいといえばいいんだが…
…いや、入院や手術といった“もしも”の時に、夫婦なら互いに代理手続きができるな。それが最大のメリットかもしれない。俺はいざという時に頼れる家族はいないから」