雨のリフレイン
柊子の思う結婚は、大好きな人と一緒に暮らして、時間を共有しながら、幸せも辛苦も一緒に乗り越えて家族になっていくもの。

だけれど、水上はそうではないようだ。
子供は要らない。そして、いざという時に代理として手続きが出来る。
非常に合理的な関係ではあるが、そこに大切なものが欠けている。
それはズバリ、“好き”という感情だ。


「絶対後悔しますよ?何も私じゃなくても。先生なら、引く手あまたでしょ?そんな思いつきで結婚なんて。」
「ぐちゃぐちゃ言うな。腹を決めろ。
もちろん、一般的な結婚生活は求めない。
まだ学生なんだ、他に好きな男が出来れば勿論速やかに婚姻関係は解消する。
絶対後悔する?
じゃあ、俺が後悔させないようになれ」
「そんなぁ」

真夜中の誰もいない病院の廊下で、勢いの上でのプロポーズ。
柊子は、余りの驚きに言葉が出てこない。
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