雨のリフレイン
「そういえば、翔太先生。
向こうの病院で大人気らしいよ」

圭太がふと思い出したように翔太の話をする。
翔太は四月から、以前水上がいた救急病院に、水上と入れ替わる形で勤務していた。

「やっぱりモテるよねー。
でもさ、翔太先生と入れ替わりに来た水上先生も、良いよね。
翔太先生とは真逆のクールな感じ。イケメンだしさぁ」

愛美の口から水上の名前が出てきて、柊子はドキッとする。

「でもさ、近寄りがたい感じじゃね?
ちょっとミスしただけでめっちゃ怒られそう。
八坂はどう思う?」

話を振られて、柊子はちょっと考える。

ーー以前から二人を知ってると、伝えたほうがいいよね。


「翔太先生と水上先生は、同級生で仲良いんだよ。研修医の時も良く一緒にいてね」
「あ、じゃあ柊子は水上先生のことも知ってるんだ」

愛美に大きくうなづいてみせる。それから言葉を選びながら柊子は続けた。

「水上先生、うちのお父さんの最期に立ち会ってくれた。今も、お母さんの主治医なの。
私、高校生の時から、先生のこと大好きなんだけど、先生には相手にもされなくてね」
「あはは、そんなところ翔太先生とおんなじだー。私も翔太先生に何度も告っては玉砕!
柊子、玉砕仲間だー」

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