雨のリフレイン
甘い夜
ーー今、何時だろ。
柊子は、ぼんやりと目を覚ます。
「…?」
いつのまにか、自分のベッドにいた。
しかも、お腹の辺りに腕があって、抱き寄せられている。
状況が、わからない。だけど、誰かと一緒にベッドにいることは確かだ。
心臓が跳ね上がる。
そっと体を反転させて、薄闇の中で相手を確かめた。
「…!」
跳ね上がった心臓が止まるかと思った。
眠っていたのは、水上だった。
「ん…起きたか?」
「せ…先生…あの…これは…」
「覚えてないのか?」
「…すみません。もしかして、あの…」
「まぁ、戸籍上は夫婦だしな。
妊娠させても、いいわけだ」
「…!!」
柊子は顔を真っ赤にして、慌ててベッドから出ようとするが、ぎゅっと抱きしめる水上の腕がそれを許さない。
「嘘。
酔っ払いを襲うなんてしない。
ただ、眠ってしまった君をベッドに運んだら、離してくれなくて仕方なくこうしていただけ。
でも、あったかくて、悪くないな。もう少しベッドが広ければもっといい。
まだ、早い。
俺、今日は休みなんだ。もう少し、寝かせてくれ」
水上は柊子を抱き寄せたまま、再び目を閉じてしまった。