そばにはいれないから。




「…………誠也くんに会ったの?」

お母さんの声に少し寝ぼけながらも頷く。


「来ないでって追い払ったんだって?後藤さんから聞いたわよ。可哀想に。」


「…………だって。」


口を閉ざすあたしを見てお母さんは笑った。


「運命なんじゃない?」

「えっ?」


「だって運命の人とはたとえ離れても繋がってるって言うでしょ?
2人はきっと繋がってるのよ。」

「何それ。」


運命の人なんかじゃない。

誠也にはきっともっとふさわしい人がいる。



「お母さんね、咲良には後悔して欲しくないから伝えるわね。」


そう言ってお母さんは真剣な顔をした。


「えっ、何。」

怖い怖い、何が始まる。



< 102 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop