そばにはいれないから。



「だから、咲良も誠也くんの幸せを咲良が決めないであげて。
自分の気持ちに素直になって、彼の気持ちも素直に聞いてあげてほしいの。

それがきっと咲良のためになると思うの。」


…………素直になる、か。


「もっと早くこの話してあげようと思ってたんだけど、遅くなってごめんね。」

あたしは大きく首を振る。


「いい話聞けた、ありがとう。」

「いいえ。」

あたしの記憶の中に、お父さんはもうほとんどいないけど

きっとお父さんも幸せだっただろう。


さっきのお母さんの表情を見てたら分かる。



「素直になるって難しいね。」


何が自分の本当の気持ちなのか。

心の中がぐちゃぐちゃでよく分からない。



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