そばにはいれないから。
「もう来ないでって言ったじゃん。」
あたしが入院した頃にいたお母さんは退院して、おばあちゃんは朝から今日は検査。
だから、寂しい4人部屋の病室に今はあたしと誠也の2人。
素直になるにはちょうどいい。
けど、なかなか素直にはなれない。
「…………あたし、もうすぐ死ぬの。だから帰って。誠也の隣では生きていけない。」
「なんで、何も言わなかったんだよ。」
なんか、誠也がすごく小さく見える。
いつも大きくてあたしをたくさん守ってくれた誠也じゃないみたい。
「あたしのせいで苦しんで欲しくないから。あたしなんか忘れてほしいから。」
「忘れねえよ!」
病室中、もしくは外まで聞こえてるかもしれない大きな声。
誰もいなくて本当によかった。